BroadLine(ブロードライン)

導入事例
株式会社国際電気通信基礎技術研究所

業種:学術研究・教育

クラウド化とインターネット回線の高品質化を実現
複合的なサービス利用で運用負荷が大幅に軽減

導入効果
基幹系システムの運用負荷を大きく軽減
高品質なインターネット接続回線を確保
災害発生時の事業停止リスクも大幅に低減
導入サービス
リレーションEthernet
Ethernetインターネット
データセンター
クラウドプラットフォーム
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
設立
1986年3月
所在地
京都府相楽郡精華町
事業内容
  • 脳情報科学
  • ライフ・サポート
  • ロボット
  • 無線通信
  • 生命科学などの情報通信
URL
http://www.atr.jp/
ロゴ:株式会社国際電気通信基礎技術研究所

情報通信関連分野における研究開発と事業開発を行う株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR)では、これまで購買管理や出退勤管理などの基幹系システムをオンプレミスで構築し、利用していた。しかしその運用には多大な手間がかかるとともに、既存のインターネット回線では不定期のメンテナンスによる利用停止が度々発生し、高品質なネットワーク環境の確保が課題となっていた。そこで同社は、Windowsサーバのライセンス切れを契機に新たなサーバおよびネットワーク環境へのリプレイスを決定、その際に選択したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供するクラウドプラットフォームサービスの「BroadCenter CloudPlatform VR」と拠点間通信サービスの「BroadLine リレーションEthernet」、そしてインターネット接続サービスの「BroadLine Ethernetインターネット」だ。

大槻 弘幸 氏
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
経営統括部 企画・広報チーム
社内ネットワーク管理担当
主任研究技術員
写真:大槻 弘幸 氏

目次

運用負荷軽減と通信回線の安定性が課題

1986年3月に政府と民間企業による出資で設立された株式会社国際電気通信基礎技術研究所は、情報通信に関する先駆的・独創的な基礎研究を行う関西文化学術研究都市の中核的研究機関だ。具体的な活動内容は研究開発と事業開発の2本柱で、前者については脳情報科学、ライフ・サポートロボット、無線通信、生命科学という4つの分野に関する研究を推進しており、後者については、各分野で得られた研究成果の事業化に取り組んでいる。研究開発だけでなく、得られた成果の事業化にまで注力しているのが、株式会社の形態をとっている同社の大きな特徴だ。

これまで同社では、購買管理や出退勤管理など社員や研究員が利用する基幹系システムを、オンプレミスで構築し、利用していた。当時の状況について、社内のITインフラとネットワーク環境を担当する経営統括部 企画・広報チーム 社内ネットワーク管理担当 主任研究技術員の大槻弘幸氏は、次のように説明する。

「エンドユーザの利用に支障をきたすような大きな障害は発生していませんでしたが、手元にサーバを置いている以上、責任を持って運用していかなければならず、担当者には非常に大きな負荷がかかっていました」。

また同社には10の部署があり、各部署内のLANやPCはそれぞれが個別に調達しているが、大槻氏は各LANを統合してルーティングするネットワーク管理と運用、ATRとしてのインターネット回線の調達および管理も担当している。

「このうちインターネット回線については、利用していたサービスで不定期にメンテナンスが入り、その度にインターネットが利用できないという事態が発生していました。これは社員や研究員にとって大きなストレスです。この環境も改善できないかとずっと考えていました」。

サポート終了を機にサーバと通信回線の移行を決定

そんなフラストレーションが続いていた中、2015年に、サーバの保守切れとサーバOS(Windows Server2003)のライセンス切れのタイミングを迎えるため、対策を講じる必要があった。そこで同社は、サーバOSをWindows Server 2012へ移行するとともに、サーバ環境は仮想化して集約を図り、同時にインターネット回線のリプレイスと増速を行うことにした。

「当初は、日頃からICT環境のサポートをしてもらっているSIerとも話をして“オンプレミス環境のサーバを入れ替える”という方向で考えていました。しかしその頃は、世の中でクラウドサービスの利用が進んでおり、SIerからもう1つの選択肢として、データセンターの利用という提案も受けたのです。そこでサーバ環境については、クラウドの利用も検討することにしました」。

ATRでは今回のプロジェクトに先立つ2011年、TOKAIコミュニケーションズが提供する法人向けワンストップメールサービス「OneOffice メールソリューション」を導入していたこともあり、大槻氏は検討を進める中で別途TOKAIコミュニケーションズにも相談し、業務サーバとインターネット回線の移行に関する提案を受けることにした。

「約4年間、TOKAIコミュニケーションズのメールサービスを利用してきて、サービス品質には高い信頼をおいていました。営業担当者の対応も誠実で、こちらの抱えている中長期的な課題についても親身になって話を聞き、提案してくれたことも印象に残っています。また当時はクラウド利用の機が熟してきた頃で、我々のクラウド利用のハードルも下がっていました。その中で提案をもらったのが、プライベートクラウドへの移行とインターネット回線のリプレイスでした」。

サービスを複合的に採用することによるメリットを実感

大槻氏が新たなサーバ環境に求めた要件は、何よりもまず担当者の運用負荷を低減できることだ。加えてシステムの耐障害性、可用性も重要となる。一方インターネット回線については、停止や寸断、遅延のないネットワーク品質が必須で、サービス導入後のサービスベンダのサポート体制やコストの低減も重要な要件だ。こうした要件を満たすものとして採用したのが、TOKAIコミュニケーションズのクラウドプラットフォームサービスの「BroadCenter CloudPlatform VR」と、ATR-クラウド間を結ぶ「BroadLine リレーションEthernet」だった。

「ATRでは、建物の電源設備の定期点検が年1回あり、その都度、停電が発生します。オンプレミス環境でサーバを運用していた時には、その度にサーバを落とす順番等調整をしながら対応をする大変さがありました。クラウド環境の場合はそんな作業も要りません。このメリットは非常に大きかったですね」。

今回同社がプライベートクラウドに移行したサーバ環境は、給与を含む業務サーバ×4台、SQLサーバ×2台で、ライセンス規約によりクラウドでの利用がコスト面で困難だったOracleサーバについては、TOKAIコミュニケーションズのコロケーションサービスを利用して1/4ラックを借り、バックアップ用ストレージとともに格納した。

また懸案だった高品質のインターネット回線についても、TOKAIコミュニケーションズの提供する「BroadLine Ethernetインターネット」を採用した。こうして複合的にTOKAIコミュニケーションズのサービスを利用するメリットについて、大槻氏は次のように強調する。

「個別に最適なソリューションを選択して、トータルコストも抑えていくというアプローチ方法も確かにあります。しかしそれではシステムとのインターフェースがソリューションの数だけできることになり、運用負荷はより増大することになります。また障害発生時に原因の切り分けをすることも非常に困難です。運用負荷の低減という意味で、信頼できるTOKAIコミュニケーションズのサービスを複合的に利用するほうが、我々にとってはメリットが大きかったということです」。

大槻氏は、先のSIerからも提案をもらったが、それはデータセンターのラック貸しのサービスで、あくまで“オンプレミス環境の延長線上”だったという。

「それでは今までの運用負荷も依然として残ることになります。クラウドの利用は今回が初めてでしたが、サービス品質に信頼のあったTOKAIコミュニケーションズの提案を採用しました」。

災害リスクの軽減やサーバコストの経費化も実現

今回TOKAIコミュニケーションズのサービスを複合的に採用したことで、同社では数多くのメリットを獲得した。

「まずサーバ環境をクラウド化したことで、地震などの災害リスクを大幅に軽減することができました。またサービス利用によるサーバコストの経費化や、ICT環境をワンストップでサポートしてもらうことも可能になりました。そしてエンドユーザにとっては最も重要な点となりますが、現在の環境はカットオーバーから丸3年が経過し、何の障害も発生していません。品質という点でTOKAIコミュニケーションズのサービスを選択した判断は、やはり間違っていなかったと思います」。

そして今後のロードマップについて、大槻氏は次のように展望する。

「オンプレミス環境には、Webサーバなど情報系のサーバがまだ残っています。今後はこうしたサーバ群も、用途に応じてクラウド環境に移行していきたいですね。また今回導入したインターネット回線は200Mbpsですが、社内の利用状況に応じて、さらに太くしていくことも検討したい。また研究開発という当社事業の性質もあり、現段階でパブリッククラウドの利用は慎重にならざるを得ませんが、今後本格的にプロジェクトを立ち上げる際には、また是非TOKAIコミュニケーションズに協力を仰ぎたいと考えています」。

構成図:株式会社国際電気通信基礎技術研究所

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