導入事例
株式会社サイバーエージェント
業種:情報通信
セキュアで高品質なGoogle Cloud 接続を低コストで実現
複数のクラウドサービスへシームレスに接続するネットワークを構築
- 導入効果
- 既存回線を利用したGCP 接続サービスで品質向上とコスト低減を実現
- スピード感を重視した技術的な意見交換を重ねプロジェクトの進捗に貢献
- マルチクラウド上に構築したシステムへのシームレスなネットワーク基盤を獲得
- 導入サービス
- GCP接続サービス
- リレーションEthernet
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 所在地
- 東京都渋谷区
- 事業内容
- メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業
- URL
- https://www.cyberagent.co.jp/
1998年の設立以来、インターネット広告やゲームの各事業を展開してきた株式会社サイバーエージェントは、事業の柱であるメディア事業に注力している。中でも、2016年4月に開局したテレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA(アベマ)」は多彩なコンテンツを提供する動画配信サービスで、2020年には5,200万ダウンロードを突破。今では“スマートフォン発のマスメディア”として災害時の緊急情報インフラとしての役割も果たしている。同社においてデジタル広告事業開発強化を担っているAI事業本部では、システム基盤としてアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)とGoogle Cloud™ などのクラウドサービスを利用していたが、同社データセンターとGoogle Cloud 間をよりセキュアで安定したネットワークで接続することを検討。その際に選択されたのが、TOKAIコミュニケーションズの提供する「GCP 接続サービス」だ。
- 山本 孔明 氏
- 株式会社サイバーエージェント
Cyberagent group
Infrastructure Unit Engineering Manager
目次
コスト低減と品質向上を目指し接続回線整備を検討
サイバーエージェントでは、Google Cloud とデータセンター間の接続に先立ち、2016年春にAWSとデータセンターとの間を閉域網回線で結んだ。この時に採用されたのが、当社の提供する「AWS接続サービス」だった。当時構築したネットワーク環境の概要について、株式会社サイバーエージェント Cyberagent group Infrastructure Unit Engineering Managerの山本孔明氏は、次のように説明する。
「TOKAIコミュニケーションズのAWS接続サービスは、我々のデータセンター内まで2系統・異ルートの光ファイバーを入線しており、AWS Direct Connect側も2系統で接続することができたため、耐障害性の高さがまさに要件に合致していました。AWS接続サービスは、広域イーサネットサービスのリレーションEthernetをベースとするサービスで、これを採用することで、セキュアで高品質、さらに高い耐障害性を確保しつつ、アクセス区間の回線を敷設する手間やコストを最小限に抑えることができました」。
山本氏は当時から、将来的にGoogle Cloud を含むマルチクラウド化が進んだ際にも対応できることを見据えてネットワーク環境の構築にあたっていた。
「これまでVPN回線を利用してGoogle Cloud に接続していました。今後のトラフィック増加を考えた時に、閉域網回線を利用することでコスト削減が見込めることに加え、データセンターとGoogle Cloud 間の接続品質の向上が期待できると考え、閉域網回線の導入を検討しました。その際の筆頭候補となったのが、TOKAIコミュニケーションズのGCP 接続サービスでした」。
品質向上とコストの低減 スモールスタートが要件
2016年のAWS接続サービス導入当時に、山本氏が在籍していたアドテク本部では、2019年9月に名称変更しAI事業本部として新組織を発足。AIを活用した新たな事業の創出を目的とした専門部署で、ビジネス職・技術者・研究者が所属しており、さまざまな領域で数々のAIビジネスを順次展開している。
「Google Cloud のデータ解析サービスであるBig-Query™ やコンテナ基盤のGoogle Kubernetes Engine の利便性が高く、AI事業本部でも開発の用途により多くのシステムでGoogle Cloud を利用しています」。
それに伴い、安心・安全な利用を確保できる新たなネットワークが必須となる。その際に求めた要件が、高い通信品質とコスト低減、そしてGoogle Cloud に接続する新たなネットワークの利用をスモールスタートで始められることだ。
きめ細かな提案で要件通りの接続環境が実現
通信品質向上とコストの低減を実現するにあたって、山本氏は当初から、AWSとの接続のために導入した当社のリレーションEthernetを利用することを念頭に置いていたという。
「AWS接続サービスの採用時に、Google Cloud を含むマルチクラウド化を想定したサービス選定をしており、既に利用済みのリレーションEthernetに“相乗り”するのが最良の選択だと常々考えていました」。
また、接続回線のスモールスタートという要件について、山本氏は次のように説明する。
「AI事業本部では、社内に多くのスタートアップ企業が存在する企業集合体のような形態をとっています。新たなサービスやシステムを開発する際には、小さなチームが立ち上がって活動を始め、成功度合いに応じて流動的に拡大・縮小するため、必要となるインフラやネットワーク帯域の予測が難しい状況でした。こうした背景があり、小さい帯域から利用開始できる接続サービスを探していました。品質向上・コスト低減と共に、スモールスタートという要件を満たしてくれたのが、TOKAIコミュニケーションズのGCP 接続サービスだったのです」。
こうして同社は、2019年8月にGCP 接続サービスの共用接続プラン(Partner Interconnect)を採用。既存回線を拡張する形で、Google Cloud 接続のPoP(ネットワークの接続点)に2系統の200Mbps回線で接続し冗長化を図り、耐障害性の高いネットワーク環境を完成させた。
「TOKAIコミュニケーションズは、AWS接続サービスの導入時にも我々の要望を十分に理解した上で、きめ細かな帯域設定の提案をしてくれました。今回採用したGCP 接続サービスには10Gbpsからの専用接続プランもありましたが、我々はスモールスタートを望んでいたため、この要件にマッチしたのが共用接続プランでした。こうしたサービスメニューのきめ細かさも、ユーザー企業にとっては非常に魅力的だと言えます」。
山本氏は、Google Cloud と接続するにあたり、PoPがあるデータセンターが提供する相互接続サービスを利用する方法があることも把握していたという。しかしこのやり方では、別途データセンター事業者のサービスを利用しなければならず、追加の投資が必要となる。さらに既存回線とGoogle Cloud との間にもう1つ、提供事業者が異なるサービスが入ることになり、障害の発生ポイントも増加してしまう。
「それがGCP 接続サービスなら、Google Cloud までTOKAIコミュニケーションズのサービスでカバーされますし、万が一の障害発生時にも、障害の切り分けから迅速な対応までを全て一任することができます。こうした観点からも、GCP 接続サービス以外に選択肢は実質的になかったというのが実情です」。
グループ内への利用拡大も視野に
GCP 接続サービスの導入を進めるにあたり、山本氏は当社の技術面でのサポートが非常に大きな安心感につながったと強調する。
「情報収集の段階から、Google Cloud とのPartner Interconnect 接続における疑問点や課題についてディスカッションを繰り返し、最適なネットワークの設計を先行して進めることができました。通常のITベンダーなら、要件によっては一度持ち帰って内部で検討し、回答までに3日~7日程度の時間を要する場合もあるかと思いますが、TOKAIコミュニケーションズは、相談の緊急度に応じて我々のオフィスまで足を運び、その場で議論して解決策を一緒に検討してくれました。こうした迅速な対応で、確認したい点を必要な時に情報交換できたことは本当に心強かったですね」。
GCP 接続サービスの導入によって、サイバーエージェントではGoogle Cloud へのセキュアで安定した接続環境を、低コストで構築することができた。そしてもう1つ、複数のクラウドサービス上に構築したシステムをシームレスに接続するネットワーク基盤も獲得した。
「今後、AWSやGoogle Cloud 以外のクラウドサービスについても、社内からの要望に応じて利用を検討していくことになるでしょう。その際には現在の接続回線の有効活用が第一の選択肢になります。このネットワークを他のクラウドサービスとの接続に活用できれば、追加コストの低減、一元窓口での運用体制も維持できるメリットが生まれるからです。さらに将来的には、AI事業本部だけでなくグループ内での利用拡大も視野にネットワーク環境を検討することになると思いますが、TOKAIコミュニケーションズには引き続き、我々の頼りになるITパートナーとしての役割を期待しています」。
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- 本導入事例の内容は制作時(2020年11月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
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