BroadLine(ブロードライン)

導入事例
株式会社フジドリームエアラインズ

業種:運輸・倉庫

BCP対策のさらなる強化を目指してAWSを導入
耐障害性が向上し運用保守業務から解放された環境を実現

導入効果
BCP対策を強化し運用保守作業が大幅に軽減
高品質なネットワークの導入でストレスのない接続環境を獲得
マルチAZ構成の採用でシステムの耐障害性が向上
導入サービス
AWS導入サポート
AWS接続サービス
AWS運用管理
株式会社フジドリームエアラインズ
設立
2008年6月
所在地
静岡県静岡市清水区
事業内容
航空運送事業
URL
https://www.fujidream.co.jp/
ロゴ:株式会社フジドリームエアラインズ

2008年6月に静岡県で設立され、翌年7月から小型リージョナルジェット機による就航を開始した株式会社フジドリームエアラインズ。“地参地翔”をコンセプトに、日本の地方と地方をダイレクトに結ぶという航空業界における新たなビジネスモデルに挑戦し続けている。現在では静岡、名古屋小牧、松本、神戸を始め、国内16空港25路線を16機の小型リージョナルジェット機で運航している。同社は2019年4月、全社的なクラウドシフトを進めるための第一歩として、総務人事関連書類のワークフローシステムをアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に新たに構築した。さらに1年後の2020年4月、旅行代理店向け団体予約管理システムをAWSに移行するとともにAWS Direct Connectによる閉域網接続を採用した。このフジドリームエアラインズのクラウドシフトに向けた一連のプロジェクトを支援したのが、TOKAIコミュニケーションズだ。

写真:小型リージョナルジェット機

鈴木 雅貴 氏
株式会社フジドリームエアラインズ
IT戦略部 企画業務グループ
グループリーダー
写真:鈴木 雅貴 氏

目次

重要インフラ事業者としてBCP対策の強化を計画

株式会社フジドリームエアラインズが取り組む航空運送事業は、電気や金融、医療などと同じく、国が重要インフラとして定めた14事業分野のうちの1つだ。そのため、事業を支えるシステムには、サービスダウンが万一発生した場合でも即時復旧もしくは短時間での復旧が求められることになる。同社はこれまでにもBCP対策を実施してきたが、近年多発する大規模な自然災害や将来予想される首都直下型地震に備えるために、BCP対策のさらなる強化を計画した。当時の状況について、株式会社フジドリームエアラインズ IT戦略部 企画業務グループ グループリーダーの鈴木雅貴氏は、次のように説明する。

「当社のサーバ群は東京都内のデータセンターで一括管理しており、建物自体は首都直下型地震にも耐えうる耐震基準や津波想定基準をクリアしていました。しかし、想定を超える災害が発生した場合、建物内の物理サーバに影響が出てサービスダウンとなる懸念が少なからず残っていました。当然バックアップも行っていましたが、磁気テープを利用しており発災後の迅速な復旧が難しかったのです。そこで着目したのが、クラウドサービスの利用でした」(鈴木氏)

BCP対策の強化にあたって新たな人員を確保することは難しく、従来のような物理サーバの管理と並行してBCPを計画・運用していくことは困難だった。

「少ない人員でいかに管理の効率化を図るかという課題がある中、クラウドサービスの利用はこうした課題も解決してくれると考えました」(鈴木氏)

AWSの採用と運用外注化で運用保守業務を効率化

BCP対策の強化に乗り出したフジドリームエアラインズは、今後オンプレミス環境にあるシステムを順次クラウドサービスに移行する方針を決定した。その最初の対象が、総務人事関連書類のワークフローシステムだ。

「当初、対象システムとして想定していたのは旅行代理店様向けの団体予約管理システムでした。しかしクラウドサービスの利用は、当社にとって初めての取り組みです。お客様向けのサービス提供を担うシステムを対象とすることは慎重にならざるを得ません。そこでまずは社内向けのシステムからスモールスタートすることにしました」(鈴木氏)

総務人事関連書類のワークフローシステムは、今まで従業員が紙文書で行っていた申請・承認業務を電子データ化して処理するための仕組みで、まずはこのシステムをクラウド上に新規で構築することにした。その際に選定したクラウドサービスがAWSだ。加えて、AWSの導入支援から移行後の運用管理までを一括して委託するITパートナー企業として選定したのが、TOKAIコミュニケーションズだった。クラウドサービスを選定するにあたって、同社はAWSを含めて2つのサービスを比較検討したが、最終的にAWSを選んだ理由について、鈴木氏は次のように説明する。

「比較したポイントは、導入実績やIaaSを利用した際の性能とコスト、耐障害性、運用保守性などが挙げられますが、一番の決め手としたのは、運用保守性でした。私たちにとっては、BCP対策を含めたシステムの運用保守業務において、少ない人員でいかに効率的に運用管理を実現できるかが大きなポイントでした。これを可能にしてくれると考えたのがAWSです。また、AWSの導入や運用管理のフェーズにおいては、TOKAIコミュニケーションズのサポートが必要不可欠だと考えました。AWSアドバンストティアサービスパートナーであるTOKAIコミュニケーションズは、AWSに対する知見や導入実績が豊富で、AWSの導入支援から環境構築後の運用管理まで一括で提供することが可能なため、サービスラインナップが非常に充実しています。当社にとっては、AWS+TOKAIコミュニケーションズの組み合わせが、最良の選択肢だと判断しました」(鈴木氏)

運用業務から解放され高品質な接続環境も獲得

こうして同社は2019年4月から、AWS上で利用する第一弾のシステムとして、新たに構築した総務人事関連書類のワークフローシステムを稼働開始した。

「これは社内向けのシステムで、パイロットなども社外からモバイル端末で利用するものです。そのため社内ネットワークからは切り離し、AWS上に独立した仮想サーバの環境として構築しました。AWSへのアクセスは、インターネットとVPC間の通信を可能にするVPCコンポーネントのインターネットゲートウェイを介して接続する形です。これによりネットワークの設定にかかる手間とコストを削減することができ、オンプレミス環境のようなサーバの保守業務もほぼ無くなりました」(鈴木氏)

2020年4月からは第二弾として、元々対象としていた旅行代理店向け団体予約管理システムの稼働を開始した。同社はこのタイミングで、Amazon RDSとAWS Direct Connectも導入している。社内システムとAWSとの接続は、AWS Direct ConnectとVPNで冗長化した。

「こちらのシステムでは、データベースをAmazon RDSに移行したことで、OSにパッチを適用するという保守業務から完全に解放されました。またAmazon RDSでは自動バックアップ機能も提供しています。この機能を利用することで、従来のように日次で磁気テープにバックアップを取り、毎日遠隔地のデータセンターにトラックで輸送するという手間もコストも一切不要になり、運用管理業務の負荷軽減と同時にBCP対策も実現できました。さらにAWS Direct Connectを導入したことで、社内ネットワーク上にあるシステムと遜色のないレスポンスを得ることができました。いずれもTOKAIコミュニケーションズのAWSに対する知見とサポートがあってこそ獲得することができたメリットだと考えています」(鈴木氏)

また鈴木氏は、通常AWSからドル建てで請求される利用料金についても、TOKAIコミュニケーションズが間に入ることで円建ての支払いが可能になったことも事務処理上の大きなメリットとして評価している。

マルチAZで耐障害性が向上 AWSの利用拡大も視野に

また今回フジドリームエアラインズは、AWSでマルチAZを採用したことで耐障害性も大きく向上した。

「AWSの同じ東京リージョン間にはなりますが、バックアップを異なるロケーションのクラウド上に構築することにより、障害発生時の即時復旧までを含めた耐障害性は大幅に向上しました。このマルチAZも、TOKAIコミュニケーションズから提案していただいたソリューションです。今後はAWSに移行するシステムの重要度に応じて、東京リージョンと大阪リージョン間でのバックアップなども検討したいと思います」(鈴木氏)

さらに同社は2022年末までに、稼働から約5年が経過した社内のファイルサーバをAmazon FSx for Windowsに移行することを計画している。その際にはTOKAIコミュニケーションズが提供するファイルサーバ導入サポートを採用する予定だ。そして将来的には、海外のシステムベンダーがSaaSとして提供する座席の需要予測サービスとファイル連携するために、AWS Transfer FamilyとAmazon S3を組み合わせて利用すること、従業員の働き方改革をセキュリティ強化とともに実現するために、DaaSサービスのAmazon WorkSpacesを導入することも検討したい考えだ。

「今回TOKAIコミュニケーションズには、必要なサーバスペックや運用時の要件、AWSでシステムを構築した場合のサーバ構成や概算コストなどをご提案いただきました。今後クラウドへの移行をさらに加速していく過程でも、改めて心強いサポートを期待しています」(鈴木氏)

構成図:株式会社フジドリームエアラインズ

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