導入事例
浜松倉庫株式会社
業種:運輸・倉庫
革新的な倉庫管理システムをAWS上に構築し
無線LANネットワークとの連携でリアルタイムでの情報活用を実現
- 導入効果
- 新システムの導入で残業時間の削減や柔軟な人員配置を実現
- 安定稼働を継続するシステム基盤を獲得
- 遠隔操作でシステムメンテナンスを行うことが可能
- 浜松倉庫株式会社
- 設立
- 1907年2月
- 本社所在地
- 静岡県浜松市
- 事業内容
- 倉庫業、通運業、一般区域貨物自動車運送業、不動産賃貸業、レストラン事業
- URL
- https://www.hamamatsu-soko.co.jp/
- 株式会社豊田自動織機ITソリューションズ
1907年2月に倉庫業から営業を開始した浜松倉庫株式会社は、現在倉庫・運送事業をベースとする総合物流事業を展開している。この他にも駐車場や地ビールレストランなどを運営する同社の基本姿勢となっているのは“集積する拠点を提供する”という考え方だ。物を集め、車を集め、人を集めることで地域を活性化し、それと共に自社も発展を目指していく。創業以来の伝統を守りながら、時代の変化に対応した取り組みを積み重ねることで、地域に根差した百年企業として更なる飛躍を目指している。
2018年11月、同社は従来の倉庫管理システム(WMS)を刷新して、リアルタイムでの情報活用と業務のペーパーレス化を実現する新たなWMSを稼働開始した。システム基盤をオンプレミスからアマゾン ウェブ サービス(AWS)へ全面移行し、AWSの導入から6か所ある倉庫内の無線LANネットワーク(CommScope / Ruckus)の構築までトータルで支援するITパートナーとして選ばれたのが、TOKAIコミュニケーションズだ。
- 伊藤 浩嗣 氏
- 浜松倉庫株式会社
経営企画室 室長 - 長谷川 敬之 氏
- 浜松倉庫株式会社
経営企画室 係長 - 久保 祐貴 氏
- 株式会社豊田自動織機ITソリューションズ
営業部 営業課 1G グループリーダー - 坪井 鉄也 氏
- 株式会社豊田自動織機ITソリューションズ
ロジスティクスソリューション部 LS1課
目次
- DX時代のWMS構築を目指して業務の抜本的な改革が課題に
- WMSとネットワークを核とした新しい物流サービス実現に向けて
- 基盤としてAWSを採用 全倉庫に無線LAN環境を新設
- 物流業界の更なる変革を目指して
DX時代のWMS構築を目指して業務の抜本的な改革が課題に
浜松倉庫株式会社が2018年11月から稼働を開始した新たな倉庫管理システム(WMS)の「Marukura SEIJI's Logistics System(SEIJI)」は、同社にとって数十年先の倉庫業を見据えた革新的なシステムだ。WMS刷新プロジェクトの背景について、浜松倉庫 経営企画室 室長の伊藤浩嗣氏は、次のように説明する。
「倉庫業を営む私たちにとって、WMSはミッションクリティカルなシステムですが、それまでは手組みで作ったシステムを40年間稼働させていました。その過程でシステムの改修も行ってきましたが、一方でブラックボックス化が進むことにもつながりました。今はまさにデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代だと言われていますが、WMSも時代に即した仕組みにしていかなければなりません。新たに構築するWMSは単なるシステムのリプレイスではなく、お客様である荷主様や私たちの業務に今までにない付加価値をもたらすものにしたいと考えました」(伊藤氏)。
同社は2016年4月に全社横断のプロジェクトを立ち上げ、理想とするWMSの刷新を遂行するため業務の棚卸しから始めたという。
「倉庫現場・事務・営業という3つの業務を可視化して整備した後、各業務の高品質化、効率化、省力化を実現するためには、どんな仕組みにすればいいのか議論し検討を重ねました。そして新たなWMSの要件として掲げたのが、倉庫内の荷物の動きをリアルタイムに把握できること、業務のペーパーレス化を実現できることでした」(伊藤氏)。
WMSとネットワークを核とした新しい物流サービス実現に向けて
新たなWMSにリアルタイム性を持たせるためには、WMS自体の機能更新と同時に、当時6か所あった倉庫内に無線LANを設置し、保管されている荷物の情報をリアルタイムに通信できる環境を構築することが必要であった。またペーパーレス化についても、入力されたデータをシームレスに連携するシステム側の機能に加えて、広大な倉庫内で出荷伝票などを受け取るために人が動かなくて済むように無線LANネットワークが必要となる。さらに、今まで社外秘としていた情報を顧客にもオープンにするシステムとなるため、強固なセキュリティ対策も求められる。同社は、業務システムとネットワークの双方に知見と実績を持つITパートナーを必要としていた。そこで一連のプロジェクトを委ねる企業として選択したのが、株式会社豊田自動織機ITソリューションズ(以下TIIS)とTOKAIコミュニケーションズだった。
「ITパートナーの選定に際しては、“WMSとネットワークを核とした新たな物流サービスを確立したい”という視点でかなり細かい要件まで記載したRFPを数社に提示し、提案を受けました。その中で私たちの要件に一番真摯に向きあった内容を提示してくれたのが、TIISでした」(伊藤氏)。
同社が提示したRFPに対して、物流業務の視点に立ったさまざまな助言や提案をしてくれたという。
基盤としてAWSを採用 全倉庫に無線LAN環境を新設
TIISは新たなWMSの構築を担当し、システム基盤となるAWS環境の構築と倉庫内の無線LANネットワークの構築については、これまで共同で数多くのシステム導入を手掛けてきたTOKAIコミュニケーションズに協力を仰ぐことにした。この点について、豊田自動織機ITソリューションズ 営業部 営業課 1G グループリーダーの久保祐貴氏は、次のように説明する。
「システム基盤について、当初クラウドとオンプレミスの両面で検討しました。新たなWMSのあるべき姿を考えた時、可用性や拡張性、コストの優位性、調達までのスピードや新機能の入手の容易さは必須要件です。新たな基盤としてはクラウドをご提案することにしました」(久保氏)。
そこで今後の浜松倉庫様のビジネスに最適なクラウドサービスとして選んだのが、AWSだった。
「浜松倉庫様が新しいWMSに求められている姿を踏まえた時、AWSは新サービスのリリースや機能アップのスピードが速く、今後進化を続けていくWMSに対しても対応できると考えたのです」(久保氏)。
久保氏は協力を仰ぐパートナーとしてTOKAIコミュニケーションズを選択した理由を、次のように説明する。
「AWS環境の構築作業については、当初複数社にお声掛けしていたのですが、TOKAIコミュニケーションズは豊富な実績があり、基盤構築から運用監視、さらには接続回線に至るAWS導入の全フェーズを支援できる豊富なノウハウをお持ちでした。またAWSに関する技術的な話でも、私たちや浜松倉庫様に対して、分かりやすく噛み砕いて説明してくれ、問い合わせの対応も非常に迅速でした。さらに今回は6か所の倉庫内に無線LANネットワークを新設するという作業もありましたが、TOKAIコミュニケーションズであればAWS環境の構築から無線LANネットワークの構築までワンストップで任せることができ、さらにコストメリットもあることに魅力を感じ採用することにしました」(久保氏)。
物流業界の更なる変革を目指して
実際のプロジェクトを進める際、TOKAIコミュニケーションズのノウハウが有用だった場面として、豊田自動織機ITソリューションズ ロジスティクスソリューション部 LS1課の坪井鉄也氏は、次のように説明する。
「浜松倉庫様の新しいWMSでは、荷主様に対して自分の荷物が今、どこにあるのかをリアルタイムで確認できる専用のWEBサイトを提供しています。この仕組みを構築するためには、セキュリティ対策なども併せて実装する必要があり、ネットワーク管理全体でTOKAIコミュニケーションズには多くの助言をしてもらいました」(坪井氏)。
また倉庫内に無線LANネットワークを新設するにあたっては、6か所の倉庫全てで事前に現地調査を実施してくれたという。浜松倉庫 経営企画室 係長の長谷川敬之氏は、その効果を次のように評価する。
「事前の現地調査によって、倉庫内のどこに、どれだけのアクセスポイントを設置すれば、確実かつ効率的に倉庫内の全エリアをカバーできるかが明らかになりました。ご提案いただいた、Ruckus製品がカバーエリアの広さ、さらにコスト面についてもマッチングできたことで、全ての最適化を図ることも実現できたと考えています」(長谷川氏)。
こうして完成したAWSを基盤とする新たなWMSは、現在7か所となった倉庫内の無線LANネットワークと連携することで、浜松倉庫に劇的な効果をもたらした。
「在庫状況や入出庫状況をリアルタイムに把握できるようになったことで、お客様には荷物の追跡情報を迅速にお伝えできるようになりました。また、社内的には作業状況に応じた人員の配置を柔軟にできるようになりました。出荷伝票や入出庫報告書などのペーパーレス化を実現したことで事務作業が大幅に削減でき、従業員の残業時間は平均3~4割も削減することができました。また、2019年7月に7番目の倉庫を新設した際にも新たな人員を募集することなく、従来のスタッフを再編することで業務を立ち上げることができました」(伊藤氏)。
またAWSを基盤にしたことにより、稼働開始から約2年経過した現在まで一度も停止したことがないという。
「インフラの稼働状況を全く意識せずにWMSを使い続けてこられていることは、非常に大きなメリットだと言えます。また基盤をAWSにしたことで、システム管理者は社外や自宅からでもシステムのメンテナンスを行うことが可能になりました。ニューノーマルな時代において、こちらも非常に大きなメリットだと考えています」(伊藤氏)。
新たに構築したWMSは、新規顧客への提案時にも非常に大きな関心を持っていただいているという。
「お客様の反応を見ても、物流業界ではまだまだDXへの取り組みが遅れていることが分かります。物流業界はさらに変わることができると思いますし、その中で私たちは、現在提供しているサービスの延長線上ではなく、商慣習さえも壊して新しいサービスを創出していきたいと考えています。その過程では改めて豊田自動織機ITソリューションズ、そしてTOKAIコミュニケーションズの力添えをいただきたいと思います」(伊藤氏)。
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- 本導入事例の内容は制作時(2020年12月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- アマゾン ウェブ サービス、AWS、Amazon VPC、Amazon CloudWatch、AMIおよびAWS CloudTrailは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
- CommScope / Ruckus 、およびその他記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。