導入事例
株式会社イチネンホールディングス
業種:専門サービス
IBM Cloud 大阪PoPと自社データセンター間を接続
クラウド環境の冗長化と安定した接続環境を実現
- 導入効果
- 閉域網を利用したIBM Cloud接続でセキュリティと通信品質を向上
- クラウド環境の冗長化による可用性向上を実現
- ユーザ視点に立ったきめ細かなサポートで感じた大きな安心感
- 導入サービス
- IBM Cloud接続サービス
- 株式会社イチネンホールディングス
- 設立
- 1963年5月
- 本社所在地
- 大阪市淀川区
- 事業内容
- 自動車リース関連事業、パーキング事業、ケミカル事業、機械工具販売事業、合成樹脂事業
- URL
- https://www.ichinenhd.co.jp/
1963年5月に設立された株式会社イチネンホールディングスは、持株会社としてグループ各社を統括し、一体経営を推進している。1930年に創業した石炭販売業を起点として、1969年からは自動車リース業や自動車整備業などを開始、その後パーキング事業やケミカル事業、機械工具販売事業、合成樹脂事業と順調に事業領域を拡大している。2016年からは農業分野にも参入するなど、農畜産物の生産販売にも着手し、グループ経営基盤のさらなる強化に努めている。これまで同社は、基幹業務システムをデータセンター内に構築したオンプレミス環境で稼働させていたが、IBM Cloudへの移行を計画し、第一弾として販売管理システムの移行を行った。その際、データセンターとIBM Cloudとを接続するために選択したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供する「IBM Cloud Direct Link接続サービス」だ。同社は2019年、新たに開設されたIBM Cloudの大阪PoP(ネットワークの接続点)にも接続し、クラウド利用環境の冗長化と同時に接続回線の増速を実施している。
- 上村 祐介 氏
- 株式会社イチネンホールディングス
グループ管理本部
管理第二統括部
情報システム部 システム課
目次
クラウド接続用のネットワーク増強が課題に
株式会社イチネンホールディングスでは、各種基幹業務システムをデータセンター内のサーバ群で稼働させていたが、システムの可用性や拡張性の向上を目的としてクラウドサービスへの移行を計画。その第一弾として販売管理システムのクラウド移行を実施した。移行先のIBM Cloudとデータセンターを接続するために選択したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供する「IBM Cloud Direct Link接続サービス」だ。その背景について、グループ管理本部 管理第二統括部 情報システム部 システム課の上村祐介氏は、次のように説明する。
「グループ全体でクラウド上のシステムを使用していくにあたり、ガバナンス強化の観点から、グループ各社からのアクセスをデータセンターに集約し、データセンターからIBM Cloudに接続する構成を採用しました。その際にITベンダーとして日本IBMから紹介を受けたのが、IBM Cloudとの接続サービスを提供するTOKAIコミュニケーションズだったのです」。
2017年、同社はTOKAIコミュニケーションズが提供する「IBM Cloud Direct Link接続サービス」を利用して自社が利用する大阪のデータセンターとIBM Cloud 東京PoPとの間を100Mbpsの回線で接続した。基幹システムを順次IBM Cloudに移行する中で、接続回線の増速と冗長性の実現が次の課題として浮上していたという。
「そんな中、IBM Cloudの大阪PoPが開設されるという情報を入手しました。基幹業務システムのクラウド移行がさらに進み、実際のクラウド利用が軌道に乗った時の状況を見越してネットワーク強化の検討を本格的に開始しました」。
大阪PoPへの接続とネットワーク増強を実現
IBM Cloudは2019年6月、西日本で初めてとなるPoPを大阪に開設した。イチネンホールディングスでは、自社の大阪データセンターとIBM Cloudの大阪PoP間を、東京PoPと同じくIBM Cloud Direct Link接続サービスでつなぐことで冗長化するとともに、将来的なトラフィック増加に備えるため接続回線を増速することにした。これらを実現するため、TOKAIコミュニケーションズに再度相談を持ち掛けたという。
「IBM Cloudの大阪PoP開設と同じぐらいの時期に、TOKAIコミュニケーションズのIBM Cloud Direct Link接続サービスが大阪PoPとの接続を開始したという情報を得ました。非常にタイミングが良かったため、東京PoP・大阪PoPによるクラウド環境の冗長化と接続回線の増速に迅速に着手することができました」。
このプロジェクトは2019年6月にスタートし、約半年後の2019年11月にカットオーバーした。当初、大阪のデータセンターとIBM Cloud東京PoP間は100Mbpsで接続していたが、この回線を200Mbpsに増速。さらに、大阪データセンターとIBM Cloud大阪PoP間を新たに200Mbpsの回線で接続した。これにより、万が一東京PoPの環境に何らかの不具合が発生した際には、接続経路を切り替えることで大阪PoPに接続することができる。
「IBM Cloudの大阪PoPが開設した時点では、TOKAIコミュニケーションズのサービス以外に大阪PoPに閉域網で接続できるサービスがありませんでした。その意味でTOKAIコミュニケーションズは他社に比べ先行していましたし、東京PoPで既に利用していた回線も過去3年間、一度も障害は発生していませんでした。ネットワーク自体の安定性や耐障害性の高さも十分に実感していました。こうした観点からもTOKAIコミュニケーションズ以外の選択肢はなかったといえます」。
また、今回はネットワークの冗長化に加えてルータの冗長化も考える必要があったが、この点についても「クラウド接続ルーティングオプション」を採用することで、運用負荷の軽減を実現した。
「これはTOKAIコミュニケーションズの東西のネットワーク拠点にそれぞれ設置されたルータ設備で、冗長構成のルーティング機能を提供するサービスですが、この機能を利用することで単にルータの冗長化を図るだけでなく、物理ルータを運用管理する手間までなくすことができました。コスト効果としては見えにくい部分ですが、このサービスの存在も大きな採用ポイントの1つだったといえます」。
プロジェクトの進め方にも大きな安心感があった
今回のプロジェクトを実現するためには、大きく3つのステップを踏む必要があった。まず初めに、大阪データセンターからIBM Cloudの東京PoP・大阪PoPまで回線を敷設し、事前に疎通試験などを実施しておく。次に大阪データセンター内のルータを新たなクラウド環境に合わせて設定変更を行う。さらに、そのルータに新たに手配した200Mbps回線をつなぎ、ルーティング設定を変更することで作業は完了する。
「今回の移行プロジェクトは、既存のネットワーク環境の安定稼働を確保した上で、慎重に作業を進める必要がありました。その際にTOKAIコミュニケーションズには非常にきめ細かくフォローしてもらい、実業務に影響が出ないよう十分に配慮してもらいました。プロジェクトの進め方にも大きな安心感があり、本当に感謝しています」。
また、ルータの設定変更作業などを行う際にも、IBM Cloudの性質上、米国時間をベースに考える必要があったという。
「プロジェクトの最後の手順である200Mbps回線への切り替えの際には、新しいネットワークとクラウド側のタイミングをきっちりと合わせる必要があります。TOKAIコミュニケーションズはIBM側とも綿密に移行計画をすり合わせた上で、作業分担を入念に調整してくれていました。これも今回滞りなくカットオーバーを迎えることができた大きな理由の1つだと考えています」。
マルチクラウド化とテレワーク環境整備を目指して
当初、同社では東京PoPのみでの冗長化を計画していたという。
「当初はTOKAIコミュニケーションズにも、東京PoPのみでの冗長化構成を提案してもらっていました。そこにちょうど大阪PoPの話が出てきたのです。TOKAIコミュニケーションズは、冗長化の目的を十分に理解した上で、東京と大阪という地理的にも離れた冗長構成で、より耐障害性の高いプランを新たに提案してくれました。本当に細かいところまでユーザ視点でフォローしてもらえていると心から実感しています」。
今後同社では、IBM Cloud以外のクラウドサービスの利用も検討し、マルチクラウド化を促進していきたい考えだ。
「その際にもTOKAIコミュニケーションズのネットワークサービスを検討したいと考えています。また、新型コロナウイルスの感染防止対策が重要な取り組み課題となっており、在宅勤務のテレワークを実現するための環境整備も喫緊のテーマです。TOKAIコミュニケーションズには、アマゾン ウェブ サービスの仮想デスクトップサービスであるAmazon WorkSpacesを利用したいという相談も行っているところです。これからも引き続き、ユーザ視点に立ったサービス提案やアドバイスを期待しています」。
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