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導入事例
株式会社熊谷組

業種:建設

オンプレミス環境のファイルサーバをAWSに移行
容量拡張時のリードタイムを大幅短縮し、運用の負荷とコストも低減

導入効果
ファイルサーバをAWSに移行、容量拡張時の手間とコストを低減
容量拡張までのリードタイムを短縮することでエンドユーザのストレスを解消
EMAを採用して自動監視体制を構築、運用の効率化とコスト削減を実現
導入サービス
ファイルサーバ導入サポート
AWS接続サービス
AWS運用管理
株式会社熊谷組
設立
1938年1月
所在地
東京都新宿区
事業内容
建設工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理、技術指導その他総合的エンジニアリング、マネジメントおよびコンサルティングならびに請負 他
URL
https://www.kumagaigumi.co.jp/
ロゴ:株式会社熊谷組

1898年創業の熊谷組は、120年以上にわたって日本の近代化、戦後の国土復興、高度経済成長を支えてきた。今も社会から求められる建設サービス業の担い手として社会課題に向き合い、世の中の発展に尽力している。2019年4月には、無人化施工の先駆けとして「DX元年」を宣言、DX方針として“デジタルでグループビジョンを実現する”を掲げた。現在土木事業の先進的な情報化施工や建築事業でのBIM(Building Information Modeling)の活用、基幹システムの刷新などに取り組んでいる。
これまで同社は、工事の過程を記録した竣工データを電子化して、オンプレミス環境のファイルサーバに保存してきた。しかし使用容量が増加し続け、ハードウェアのサポート終了も迫っていた。そこで移行先の新たな環境としてアマゾン ウェブ サービス(AWS)を選定、移行プロジェクトを委託するITパートナーとしてTOKAIコミュニケーションズを選択した。

菊地 智美 氏
株式会社熊谷組
経営戦略室 DX推進部
ITソリューショングループ
写真:菊地 智美 氏
保坂 富夫 氏
シーイーエヌソリューションズ株式会社
アウトソーシング部 エキスパート
写真:保坂 富夫 氏

目次

ファイルサーバの容量不足が慢性化

熊谷組では、工事ごとの竣工データを過去何十年にもわたって保存している。竣工データは、設計図や契約書の写し、各作業の過程を撮影した写真など、その工事に関わる全ての書類や写真を電子化したPDFデータで、最終的に施主に渡されるものだ。これまで同社は、この竣工データをオンプレミス環境のファイルサーバに保存していたが、2018年、新たな環境への移行を計画した。当時の状況について、経営戦略室 DX推進部 ITソリューショングループの菊地智美氏は、次のように説明する。

「管理していた竣工データは数千件で、容量にして約5TBありました。しかしそれらを保存していたファイルサーバのディスク交換が続いており、ハードウェア自体がサポート期限を迎えることも見えていました。一方、竣工データは会社の活動とともに増え続けていくので、いつか容量は足りなくなってしまいます。当時は使わなくなった他のデータを削除して空きを作り、そこに竣工データをアップロードしてもらうという対応をしていたのですが、調整が進まず工事担当者に1年ぐらい待ってもらうという状態が続いていました」(菊地氏)

そのため各工事担当者の机の上には、竣工データを記録したCD-Rの山が生まれていたという。

「社内では以前からクラウドファーストを掲げていました。そこで長年利用してきたファイルサーバの移行先として選定したのがAWSでした」(菊地氏)

導入コストや容量拡張の容易さでAWSを選択

熊谷組は2012年、データセンターで稼働させていた物理サーバのほぼ全てを、国内ITベンダーが提供するIaaS上に移し替えていた。

「クラウドサービスには、容量拡張時のリードタイム短縮や手間の軽減、調達・運用コストの低減といった数多くのメリットがあることを認識していました。ただファイルサーバについては、2012年当時オンプレミスでの利用が始まった頃で、まだリース期限がかなり残っていたのです。それが今回サポート終了のタイミングを迎えました。移行先として既存のハードウェアベンダーの後継機種なども検討しましたが、導入コストが高かったのと、やはりオンプレミス環境では容量拡張時に手間やコストがかかることが懸念事項でした。また、データ移行はベンダーではなく私たち自身で行う必要もありました。こうした検討プロセスを経て、最終的に選択したクラウドサービスがAWSでした」(菊地氏)

AWSには簡単に容量追加ができるというクラウドサービス自体のメリットに加え、様々な機能を提供するサービス群がラインナップされているという優位性がある。

「社内では、ごく一部ですがAWS上で稼働していたシステムがありました。AWSにはある程度の馴染みもあったのです」(菊地氏)

こうしたAWSの選定フェーズと同じ頃に建設業界の研究会で紹介を受けたのが、TOKAIコミュニケーションズだった。

「建設業界には横のつながりがあり、準大手と中堅クラスの建設会社の情報システム部門が集まって、3か月に1回のペースで研究会のようなものを実施しています。そこでAWSに豊富な知見と実績のあるITベンダーとして紹介を受けたのが、TOKAIコミュニケーションズでした」(菊地氏)

重複排除などの活用でより効率的な運用を実現

そこで同社は2019年、容量拡張時の手間とコストの低減、リードタイムの短縮、データ移行、さらにはActive Directoryとの連携や高品質な回線での利用環境といった要件を提示し、AWSへの移行支援をTOKAIコミュニケーションズに委託した。そして提案を受けたのが、AWSが管理するフルマネージド型のファイルサーバサービス「Amazon FSx for Windows File Server」だ。

「その際にTOKAIコミュニケーションズは、より効率的な利活用のために、Amazon FSx for Windows File Serverの提供する3つの機能を提案、設定してくれました」(菊地氏)

それが重複排除機能、ある時点のスナップショットを取得するVSS(ボリュームシャドウコピーサービス)機能、ユーザが消費するストレージ容量を制限できるユーザストレージクォータ機能だ。

「重複排除機能によって、同じデータを保存しておく無駄を省くことができますし、VSSはバックアップ機能として利用することができます。またユーザストレージクォータ機能があれば、私たちの知らないうちにストレージ容量が無尽蔵に増えていくという事態を避けられます。TOKAIコミュニケーションズが私たちの要望を十分に理解していたからこそこれらの提案ができたと考えています」(菊地氏)

さらに今回熊谷組は、Amazon FSx for Windows File Serverに移行した竣工データを参照するためのWebシステムをAmazon EC2上に構築している。

「このWebシステムは以前のファイルサーバに搭載していたものですが、AWSへの移行検討時にTOKAIコミュニケーションズがAmazon EC2を立ち上げてそこにWebサーバの機能を持たせるという提案をしてくれました。AWSには多くの選択肢がありますが、それらをどう組み合わせて利用し、効果を出していくかについては、私たちに十分なノウハウがありません。TOKAIコミュニケーションズのAWSに対する深い知見を実感することができた提案だったと思います」(菊地氏)

また今回同社は、TOKAIコミュニケーションズの提供するAWS接続サービス、AWS運用管理の各サービスも採用している。

EMAで自動監視体制を構築し、新たな環境への移行も計画

同社が構築したAmazon FSx for Windows File Serverの環境は2020年秋に稼働を開始し、現時点で約2年半が経過している。

「導入効果としては、第一に容量の追加を簡単にできるようになったことが挙げられます。今では1週間もかからず工事担当者に竣工データのアップロードをしてもらえるようになりました。エンドユーザのストレスは解消されたと思います。またこれまで外部委託していたハード面の運用を全てなくすこともできました。これはコストの大幅削減につながっています」(菊地氏)

今回同社は、TOKAIコミュニケーションズが独自に開発した監視・自動化ツール「EMA」を採用して自動監視体制を構築した。EMAを利用した運用監視について、熊谷組をシステムコンサルティングから運用設計の場面で支援するシーイーエヌソリューションズ株式会社 アウトソーシング部 エキスパートの保坂富夫氏は、次のように説明する。

「これまでは、当社で毎朝サーバの稼働状況を確認し、何か対応や検討が必要な事象が発生した際には、熊谷組様にエスカレーションして、対応方針を相談していました。それが現在では、メモリーリークなど何かしら問題が起きた時には、EMAからアラートメールが同報されるので、すぐに対策を検討することができます。監視のために人が張り付く必要もなくなりました」(保坂氏)

今回熊谷組は使用するディスクサイズを7TBからスタートしたが、その後8TB、さらに9TBへと拡張し、2023年8月にはファイルサーバサービスを「Amazon FSx for NetApp ONTAP」に切り替え、ディスクサイズも10TBに拡張する予定だ。

「Amazon FSx for NetApp ONTAPへ移行する理由は、頻繁にアクセスするデータとそうでないデータの保管場所を自動で調整する機能を提供しているからです。データの保存場所を切り分けることで、ストレージコストのさらなる低減を見込むことが可能となります。このプロジェクトのカットオーバー後も、TOKAIコミュニケーションズには、これまでと同じく心強い支援を期待しています」(菊地氏)

「AWSはセキュリティの設定など、使う側にノウハウがなければ難しい部分が多々あります。例えば今後、利用中のAWS環境全体を見渡して、セキュリティ的に脆弱な箇所が無いかを分析するようなサービスをTOKAIコミュニケーションズに提供していただけると非常に心強いですね」(保坂氏)

構成図:株式会社熊谷組

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