導入事例
株式会社パルコ
業種:卸・小売
基幹システムの移行を契機にAWS接続サービスを採用
高品質なアクセス環境を構築し低コストで柔軟なシステム基盤を獲得
- 導入効果
- AWSとデータセンター間を高品質・高セキュリティなアクセス回線で接続
- 回線および構築・運用までのワンストップ提供でコストメリットを最大化
- 確かな技術力を有したITパートナーの獲得で得た大きな安心感
- 株式会社パルコ
- 設立
- 1953年2月
- 所在地
- 東京都渋谷区
- 事業内容
- PARCO SC事業、デベロッパー事業、コンテンツ事業
- URL
- https://www.parco.co.jp/
株式会社パルコは、1969年の池袋PARCOオープン以来ファッションや演劇、アートなどのカルチャーを通じて未来をつくるイマジネーションの可能性を探求し続けている。2012年に全国主要都市に「大丸」「松坂屋」を展開するJ.フロントリテイリンググループに参加し、2021年に3か年の中期経営計画を発表。その中で同社は、ショッピングセンター「PARCO」を全国展開するPARCO SC事業と、国内の不動産開発・業態創造を手掛けるデベロッパー事業を2本柱に据えた。両事業に顧客にとっての魅力を付加するコンテンツ事業を含めた3つのビジネス領域を中心とし、さらなる成長を目指す方針を打ち出した。パルコは2018年、基幹システムが稼働する物理サーバが保守期限を迎えることを契機にアマゾン ウェブ サービス(AWS)への移行を実施するとともに、AWS Direct Connectを利用する閉域網接続を採用した。このAWS接続プロジェクトを委託するITパートナーとして選ばれたのがTOKAIコミュニケーションズだ。
- 中嶋 史子 氏
- 株式会社パルコ
グループ情報システム推進部 部長 - 松本 雅 氏
- 株式会社パルコ
グループ情報システム推進部
目次
AWSへの移行を契機に 接続回線の導入が課題に
株式会社パルコでは、各種基幹システムを物理サーバ上で稼働させていたが、その中の人事管理システム用サーバと、エンタテインメント事業の原価管理を行う公演管理システム用のサーバの保守期限が迫っていた。そこで同社はインフラの移行先の検討を開始した。当時の状況について、グループ情報システム推進部 部長の中嶋史子氏は、次のように説明する。
「人事管理システムにはパッケージ製品を利用しているのですが、サーバ移行先の検討時に製品ベンダーから“クラウド版の製品に切り替えてはどうか”という提案を受けました。私たちは、当時、業務システムの基盤としてのクラウド環境に注目しており、顧客向けWebサイトは2014年頃から既にAWSを使用していたこと、さらに公演管理システム用のサーバ移行も控えていたことなどから、コスト比較も行った上で新たなシステム基盤としてAWSを採用することに決定しました」(中嶋氏)。
顧客向けのWebサイトやアプリのインフラとして既にAWSを利用していた同社だが、基幹システムの基盤としてのクラウド導入は今回が初めての取り組みとなる。人事管理システムのAWS移行については製品ベンダーの担当領域となるが、AWSへの接続方法については新たに情報収集をする必要があった。
「AWS上の基幹システムを利用する際には、本社や各店舗から既存の広域イーサネット網を介して一旦データセンターにアクセスし、そこからAWSに接続する形になります。その場合、インターネット接続ではセキュリティが不安ですし、VPN接続にしても通信速度の問題が発生します。一方で専用線ではコストがかさむことが懸念材料としてありました。そこでAWSの営業担当者に“コストを抑えつつ、社内LAN経由でシステムを使用するぐらい快適に利用したい”という要望を伝えて紹介を受けたのが、TOKAIコミュニケーションズを含む複数の通信事業者でした」(中嶋氏)。
ネットワーク領域の実績とシステム構築の実力を評価
AWSから複数社の紹介を受けた同社だが、その中からTOKAIコミュニケーションズを選んだ理由について、中嶋氏はいくつかの優位ポイントを挙げる。
「AWS Direct Connect デリバリーパートナーとして、十分な実績があり、当社が利用しているIDCとの接続がしやすいという利点がありました。また、営業担当者や技術担当者と直接お会いして会話した中で、信頼できる方たちだという印象を受けました。実際の提案も、セキュリティ、通信品質、低コストに加えて短納期の実現までを満たしてくれる提案をいただきました」(中嶋氏)。
さらに中嶋氏は、TOKAIコミュニケーションズがAWS環境の構築支援の面でも豊富な実績があることを評価したと続ける。
「AWSへの接続回線を導入したあとは、公演管理システムのAWS移行も控えていました。TOKAIコミュニケーションズはシステム構築の部門もあり、AWS導入サポートの豊富な実績がありました。今後の既存システムのサーバの移行においても、技術的な支援を併せてお願いできると考えたのです」(中嶋氏)。
こうして同社は2018年1月、TOKAIコミュニケーションズが提供するAWS接続サービスを採用。主回線に100Mbpsの光アクセス回線、副回線に100MbpsのVPN回線での冗長構成とし、可用性の高いAWS接続環境を実現した。また公演管理システムについては、仮想サーバとしてAmazon EC2を、DBサーバとしてAmazon RDSを採用して、AWSへの移行を無事完了させた。
コスト削減と環境変化への柔軟な対応を実現
同社は2021年3月、Amazon EC2上にWindows10の更新プログラム配信用サーバを新規に構築し、さらに6月にはAmazon FSxを導入してファイルサーバを新設した。このファイルサーバは、同社が基本的なファイルサーバ機能をBOXへと移管するにあたり、BOXでは対応できないシステム間連携の中継サーバなどの機能として使用するものだ。そしてこの2つの導入プロジェクトを委託されたのもTOKAIコミュニケーションズだった。
「最初のAWS接続プロジェクトを支援していただいた際の信頼と安心感がありましたし、システム構築の実力も認識していました。そのため、委託するITパートナーを細かく分散するよりも、TOKAIコミュニケーションズにまとめて依頼したほうが最適解であると考えたのです。ただし、現在私たちはクラウドファーストという方針を打ち出していますが、いずれのプロジェクトもオンプレミスとのコスト比較はしっかり行いました。TOKAIコミュニケーションズにも2パターンの見積もりを依頼しましたが、やはりクラウドのほうがコストメリットは大きかったですね」(中嶋氏)。
同社はWindows10の更新プログラム配信用サーバの構築と同時に、TOKAIコミュニケーションズが独自開発した監視・自動化ツール「EMA」を利用したAWS運用管理サービスも採用している。一連のAWS導入プロジェクトの成果として、中嶋氏はコスト削減や環境変化への柔軟な対応が可能になった点を挙げる。
「コストについては、利用期間と特定の使用量を設定することで料金を抑えられるAWSの料金モデルを適用して、低価格化を図ってもらいました。また2020年には会計システムもアプリベンダーと連携してAWSに移行したのですが、当初は思い通りのレスポンスが得られずCPUのスペックを上げました。とても簡単にスペックの変更ができるのはAWSならではのメリットだと言えますが、これがオンプレミス環境の場合は、メモリやディスクを調達した上で増設作業もしなければなりません。コストも、手間も、時間も削減できたのは、AWSへ移行したことによる大きな導入効果だと思います」(中嶋氏)。
担当者との密なつながりが今後も大きなよりどころ
同社は、データセンターに残っている他の物理サーバについても、保守期限を迎えるタイミングで順次AWSに移行していく予定だ。また、今後、グループ会社とのデータ連携なども検討する予定となっている。その際は改めてTOKAIコミュニケーションズに支援を仰ぎたい考えだ。この点について、グループ情報システム推進部の松本雅氏は、次のように語る。
「一般的に他のITベンダーはメールや週1回程度の打ち合わせでのやり取りですが、その場合だと込み入った質問や細かいニュアンスまで伝えられないことが多々あります。今回の一連のプロジェクトでは、TOKAIコミュニケーションズの営業担当者だけでなく、技術担当者の電話番号まで提示してもらい、技術的なやり取りがスムーズに行えました。システム内容の話やメールではうまく伝えきれないところを直接技術者と会話できたことは、本当に安心できました。成果物の品質に加えて、ユーザ企業の立場に立ったフォローアップも、私たちがTOKAIコミュニケーションズを信頼する非常に大きなよりどころになっているといえます」(松本氏)。
現在同社では、オンプレミス環境とAWS上の複数のシステム間の接続部分として機能するAWS Transit Gatewayの導入も計画しており、TOKAIコミュニケーションズに相談して、コストも含めてどのような構成が最適になるかを検討しているところだ。
「2018年にAWSに移行した公演管理システムではOracleを利用しているのですが、先日TOKAIコミュニケーションズから“Amazon RDSで利用しているOracleのバージョンが2022年に保守期限切れになります”という連絡をいただきました。このように実は非常に重要な情報もユーザ企業だけで全てを把握することは困難です。TOKAIコミュニケーションズには導入プロジェクトの支援と共に、今後もさまざまな有益な情報の提供にも大いに期待しています」(中嶋氏)。
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