BroadLine(ブロードライン)

導入事例
天龍製鋸株式会社

業種:製造

オンプレミスの基幹システムをOracle Cloudに移行
Oracle Cloud接続サービスを採用し高品質な接続環境を低コストで実現

導入効果
低コストで高品質なOracle Cloud接続環境を実現
インターネット回線とアクセス回線を刷新し快適な接続環境を獲得
アクセス回線の冗長化による可用性の向上とコストメリットを創出
導入サービス
Oracle Cloud接続サービス
VIC-VPN for Oracle Cloud
データセンター接続インターネット
天龍製鋸株式会社
設立
1913年10月
所在地
静岡県袋井市
事業内容
鋸・刃物類の製造/加工/販売他
URL
https://tenryu-saw.com/ja/
ロゴ:天龍製鋸株式会社

イメージ:天龍製鋸株式会社1913年設立の天龍製鋸株式会社は、丸鋸(まるのこ)の改造を目的に濱名郡中ノ町村(現浜松市)で創業。以来、“切削と加工”をテーマに業界のパイオニアとして新素材・高度な切削条件のニーズに対応するため製品開発に注力してきた。元々天竜川上流には良質の杉が群生しており、上流で伐採された原木は筏で下流に運搬し丸鋸で切削・加工されていた。当時は海外製の丸鋸しかなく、同社はその丸鋸を研磨する事業からスタートした。その後、国産初の丸鋸を製造するに至り、現在では木質系材料用に留まらず、鉄鋼用や非鉄金属用など自動車部品を始めとする様々な産業製品を切削・加工するための刃物製品を提供している。同社は2020年に複数の基幹システムが稼働するオンプレミスの物理サーバが保守期限を迎えるにあたり、従来環境をOracle Cloud Infrastructure(OCI)に移行することを決定した。その際にOCIと既存データセンターとを高品質な回線で接続するために選択したのが、TOKAIコミュニケーションズが提供する「Oracle Cloud 接続サービス」だ。

堀内 敏晴 氏
天龍製鋸株式会社
取締役経営管理部長
写真:堀内 敏晴 氏
斉田 守浩 氏
天龍製鋸株式会社
経営管理部 ITシステム課 課長
写真:斉田 守浩 氏

目次

新たな基盤としてOCIを選択

天龍製鋸株式会社では、販売管理・生産管理・原価管理という3つの基幹システムが稼働する物理サーバをデータセンター内で運用していたが、サーバの保守期間が満了を迎えるため、2020年に新たなシステム基盤への移行を検討することにした。当時の状況について、取締役経営管理部長の堀内敏晴氏は、次のように説明する。

「新たなシステム基盤で最も重要視したのは、コストメリットが得られるかという点でした。またBCP対策用のDRサイトとしての利用や、柔軟な可用性が確保できるか、さらに新たなシステムの追加が求められたときにも迅速に対応できるか、という点も重要なポイントでした」(堀内氏)。

同社は、上記の要件を全て満たす環境としてクラウドを選択したが、実際に採用するクラウドサービスとしては、OCIとアマゾン ウェブ サービス(AWS)の2つを比較検討したという。その背景について、経営管理部 ITシステム課 課長の斉田守浩氏は、次のように説明する。

「まずOCIを候補に挙げたのは、基幹システムで利用していたデータベースがOracleであり、親和性があるだろうと考えたからです。一方AWSについては豊富な導入実績があり、また社内で2019年から導入していた資産管理ソフトの基盤として既に利用していました。そこで両サービスを比較検討したのですが、OCIのほうが運用フェーズに入ってからのコストが圧倒的に安価であることがわかりました。こうしてオンプレミスからの移行先をOCIに決定しました」(斉田氏)。

OCIの利用にあたっては、同時にデータセンターからOCIに接続するための新たな回線も必要になる。その際に選択されたのが、TOKAIコミュニケーションズが提供するBroadLine「Oracle Cloud接続サービス」だった。

高速・高品質な通信環境と低コストの両立が要件

従来のネットワーク環境は、本社や大牟田工場を含む7つの拠点とデータセンターとを広域イーサネットで接続するという構成だった。データセンターへのアクセス回線は、Ethernet回線をメイン回線に、バックアップ回線としてNTTフレッツ光回線を利用し二重化を図っていた。その他の各拠点のアクセス回線は拠点ごとの利用頻度に合わせて、Ethernet回線とフレッツ光回線とを使い分けており、社内ユーザが利用するインターネット接続は、広域イーサネットの中継網から直接アクセスする構成にしていたという。この環境に、OCI接続のためのネットワークが加わることになる。同社は新たに導入するOCIへの接続回線を選定する際に、TOKAIコミュニケーションズを含め複数社から提案を受けることにした。OCIへの接続回線に求めた要件は高速・高品質・低コストだ。また、以前からインターネット接続環境も、通信のつながりにくさや速度遅延が大きな問題となっていたため、改善したいと考えていた。今後、全社的にトラフィックの増加が想定されるため、データセンター/本社/大牟田工場のアクセス回線も増速することにした。

「これら全ての要件を同時に実現するという大々的なプロジェクトを、安心して任せられることのできるITパートナーが必要でした。その中で私たちが選んだのが、TOKAIコミュニケーションズです」(斉田氏)。

ネットワーク刷新のポイントとなるOCI接続については、TOKAIコミュニケーションズのOracle Cloud接続サービスを採用し、OCIへの接続回線は帯域確保型の100Mbps回線をメイン回線として利用。さらにフレッツ光回線を利用した「VIC-VPN for Oracle Cloudサービス」をバックアップ回線に選び、可用性を高める構成とした。次にインターネットへの接続は、広域イーサネットの中継網から直接アクセスする構成をやめ、データセンター経由でアクセスする構成に刷新することにした。そしてデータセンターへのアクセス回線のメイン回線は、従来のベストエフォート型の100Mbpsから帯域確保型のEthernet200Mbpsに増速、さらに本社のアクセス回線は、ベストエフォート型の100Mbpsから帯域確保型のEthernet100Mbpsに変更。大牟田工場のアクセス回線はフレッツ光回線からベストエフォート型のEthernet100Mbpsに変更する。同社は、これまでに問題となっていた点も含め、改善することが可能なTOKAIコミュニケーションズの提案を採用することにした。

トータルコストを抑え高品質なOCI接続を実現

採用した理由について、斉田氏は複数のポイントを挙げる。

「今回構築するOCI接続環境は5年間利用する前提で検討したのですが、TOKAIコミュニケーションズのOracle Cloud接続サービスのトータルコストのほうが、他社の提案より約1割程度安価であることがわかりました。コスト面での優位性がありました」(斉田氏)。

またインターネットへの接続についても、データセンター経由でアクセスする構成に刷新することで、つながりにくさや速度遅延といったこれまでの課題を払拭することができる。

「これまでと同様に広域イーサネットの中継網から直接インターネットに接続するという提案もありましたが、この方法ではいずれまた速度遅延などの問題に直面する恐れがあります。やはりデータセンター経由で接続するほうが、将来も見越した上で現実的だと判断しました」(斉田氏)。

データセンターには全社で利用するファイルサーバを置くなど様々な用途があり、今後もオンプレミスでの利用が求められるシステムが残る可能性がある。オンプレミス環境の柔軟性を確保しておくという観点からも、データセンターを継続して利用するTOKAIコミュニケーションズの提案が、同社の実情には合致していたということだ。そして各拠点のアクセス回線の見直しについては、データセンター経由でインターネットにアクセスする構成に刷新することで、特にデータセンターへのトラフィック量が以前より増加することが想定された。

「そうした状況になることを見越して、TOKAIコミュニケーションズは100Mbpsから200Mbpsへの増速に加えて、ベストエフォート型から通信品質の高い帯域保証型への変更を提示してくれました。ネットワークベンダーとして豊富な知見があることを実感できる提案だと感じました」(斉田氏)。

今回のネットワーク刷新はOCIへの接続回線の追加、インターネット接続環境の変更、各拠点のアクセス回線の変更という3つの案件を同時に進めるという大がかりなプロジェクトだった。

「今回のネットワーク刷新は何よりも大きなコストメリットが得られると考え実施しましたが、大前提として信頼のおけるITパートナーに任せられることという条件がありました。TOKAIコミュニケーションズは、ネットワーク周りに関する実績や豊富なノウハウに加え、フレッツ光回線提供事業者との折衝や回線開通工事の日程調整など、プロジェクトを予定通りに進めるために尽力していただきました。一緒にプロジェクトを進められたことには、導入の過程で非常に大きな安心感がありました」(斉田氏)。

クラウド移行を推進し海外からの接続も視野に

同社の新たなネットワーク環境は、2021年4月にOCIへの接続回線が開通し、5月下旬にはインターネット接続環境の切り替えが終了。各拠点のアクセス回線の増速も順次進め、7月末に全てのプロジェクトが完了した。

「基幹システムのインフラ移行は、いわば情報システム側の都合で、社内ユーザには直接関係のない話ではありますが、以前より使い勝手が悪くなるようであれば大問題です。今回OCIの採用と併せてOracle Cloud接続サービスを導入したことで、これまでと変わらない利用環境を実現することができました。この点はプロジェクトとして、一番成功した点だと評価しています」(斉田氏)。

またインターネットの接続環境についても、以前は社内ユーザ側でメールの受信に時間を要するという事象が多かったが、これも劇的に改善されているという。

「今までは、休日明け月曜日の昼頃の時間帯にメールの受信状況が非常に悪くなるという事態が発生していましたが、現在では全くストレスもなくメールの受信ができています。これは、各拠点のアクセス回線を全体的に見直したことが大きく寄与していると思います」(斉田氏)。

同社では、OCIの利用以前からAWS上で資産管理ソフトを利用しており、その運用監視もTOKAIコミュニケーションズに委託している。通信サービスのみならずシステムの運用など、あらゆる面で相談できる点も大きな助けになっているという。最後に、今後の取り組み課題として堀内氏は、現在もオンプレミスにあるシステムのクラウド移行や海外拠点からのOCI利用を挙げる。

「現在オンプレミスには会計と人事のシステムが残っていますが、これらもサーバの保守期限を迎えるタイミングでクラウドに移行したいと考えています。また私たちは中国やタイ、アメリカ、ドイツなどにも拠点を設けていますが、将来的にはそうした海外拠点からも国際回線を経由してOCIを利用できるようにしたいと考えています。その際は、また改めてTOKAIコミュニケーションズの協力を仰ぎたいと思います」(堀内氏)。

構成図:天龍製鋸株式会社

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