導入事例
株式会社ゼンリンデータコム
業種:情報通信
AWSとの接続ポイントを冗長化し
ネットワーク品質向上とコストの大幅削減を実現
- 導入効果
- AWSとの接続ポイントを冗長化し可用性が向上
- AWS接続サービスへのリプレイスでネットワークコストを大幅に削減
- ネットワーク品質の向上で運用管理の負荷が軽減
- 導入サービス
- AWS接続サービス
- 株式会社ゼンリンデータコム
- 設立
- 2000年4月
- 所在地
- 東京都港区
- 事業内容
- ITS事業、ネットサービス事業、海外事業
- URL
- https://www.zenrin-datacom.net/
2000年4月に設立された株式会社ゼンリンデータコムは、多様な地図情報を提供する株式会社ゼンリンの情報システムを担うIT企業だ。住宅地図をはじめとする地図情報にナビゲーションシステムなどのテクノロジーを組み合わせることで、ゼンリンが提供する各種ソリューションを支えている。法人向けには店舗・施設情報などを地図上に表示する「Area Marker」、個人向けには無料のPC・スマートフォン用地図情報サービス「いつもNAVI」などのサービスを提供。現在では、配送中の運送業者の車両の位置情報をリアルタイムに収集・分析して最適な配送計画をスピーディーに提示するサービスもリリースしている。同社では、商用サービスのシステム基盤をクラウドに移行する方針を決定し、2012年からアマゾン ウェブ サービス(AWS)の利用を開始。AWSへの接続はAWS Direct Connectによる閉域網接続を採用した。その後、2018年には既存データセンターの縮小をきっかけにAWS接続回線のリプレイスを計画することになった。その際に選択されたのが、TOKAIコミュニケーションズが提供する「AWS接続サービス」だ。
- 渡邊 大祐 氏
- 株式会社ゼンリンデータコム
技術統括部 副部長
目次
保守窓口の一元化が課題に
株式会社ゼンリンデータコムでは、2012年からクラウドファーストを指向し、商用サービスが稼働するオンプレミス環境のシステム基盤を順次AWSに移行するプロジェクトに着手した。オンプレミス環境で運用していた1,800台の物理サーバはVMware Cloud on AWS(VMC)に移行し、現在では2,400台のAmazon EC2が稼働している。また、AWSへの接続回線は2本の異なるキャリアの専用線を利用してエクイニクスTY2でAWS Direct Connectに接続するキャリア冗長構成としていたが、クラウドシフトに伴う既存データセンターの縮小を進めるとともに、AWS接続回線の見直しも検討することにした。当時の状況について、技術統括部 副部長の渡邊大祐氏は次のように説明する。
「データセンターを縮小するとはいえ、AWSとデータセンター間の回線をなくすことはできません。そのため、さまざまな課題を抱えていたAWSへの接続回線も改めてリプレイスしようと考えました」(渡邊氏)。
同社ではこれまで、異なるキャリアの回線サービスを利用した冗長構成でAWS接続回線の可用性を確保していたが、保守窓口への電話がつながりにくいという状況や、障害発生時の原因の切り分けがスムーズに進まないことが度々発生していた。
「キャリアによってサービスレベルも異なり、保守サポートのレスポンスにも差がありました。回線の可用性を落とさず、保守窓口の一元化ができれば、私たちの感じているストレスも軽減できるのではないかと考えていました」(渡邊氏)。
AWS接続サービスで運用課題を解決
渡邊氏は、以前から拠点間を接続する回線で利用していた「Ethernet専用線」を提供しているTOKAIコミュニケーションズに自社の現状を説明してAWS接続回線の冗長化について最適な方法を相談したという。
「ベストな構成を模索する中、当社にとって非常に有益な情報を得ることができました。第一に、AWSの東京リージョンとの接続ポイントは東京都内に複数箇所あり、TOKAIコミュニケーションズのAWS接続サービスでは異なる接続ポイント(アット東京とエクイニクスTY2)でAWSとの接続が可能なこと、第二に、当社が利用しているデータセンターには、既にTOKAIコミュニケーションズの回線収容装置があるため構内配線で接続でき、回線の利用コストも圧縮できることがわかりました」(渡邊氏)。
渡邊氏は、AWS接続回線のリプレイスをTOKAIコミュニケーションズの回線サービスに統一したことにより、運用面でもメリットを感じることができたと強調する。
「当初は、新たなAWS接続回線にリプレイスするとしても、従来と同様にキャリア冗長構成にならざるを得ないだろうと考えていたのです。しかし、AWSとの接続ポイントを分けることにより、接続回線の可用性を向上させ、かつ障害時や問い合わせが発生した際の窓口をTOKAIコミュニケーションズに一元化することで迅速なサポートを受けることが可能になると判断しました。私たちにとってまさに最適解だと考えました」(渡邊氏)。
こうして同社は、TOKAIコミュニケーションズが提供するAWS接続サービスを採用し、2019年12月からAWS接続回線の移行プロジェクトを開始。2020年4月にカットオーバーを迎えた。
年間で約4割ものコスト削減を実現
AWS接続サービスは、AWSとの接続ポイントを複数利用して可用性が向上することが採用のポイントになったという。
「AWS接続サービスが2か所の接続ポイントでAWSと接続できることに加え、当社が利用しているデータセンターからアクセス回線なしで利用できることが選択する上で非常に大きなアドバンテージとなりました。回線のリプレイスを検討していた私たちにとって本当に良いタイミングだったといえますが、その背景には、TOKAIコミュニケーションズが先進的な通信キャリアとして、ユーザ企業の求めるサービスやテクノロジーを常に模索し続けている真摯な姿勢があったのだと思います」(渡邊氏)。
また、回線の利用コストについても、従来のキャリア冗長回線と比較すると、TOKAIコミュニケーションズのAWS接続サービスにリプレイスしたことで、年間で約4割ものコスト削減を実現することができた。
「AWS接続サービスの利用開始から現時点で約1年半経過しますが、特に大きな問題も一切起きていません。低コストと高品質という2つの要件を同時に実現できているという素晴らしい状況です」(渡邊氏)。
さらに保守窓口が一本化されてサポート対応が迅速になり、ネットワーク運用の負荷も軽減したという。
「この点については、私たち自身にAWSのノウハウが蓄積されてきたことも大いに関係していると思いますが、インフラとしてのネットワークの品質が向上したことで、トラブル対応時の時間短縮にもつながりました。ネットワーク品質と私たちの知見も含めたトータルでの効果だと思います」(渡邊氏)。
音声対話機能のサービス実装も視野に
リプレイス後も、ゼンリンデータコムとTOKAIコミュニケーションズは良好な関係を維持している。2020年6月には、MaaS(Mobility as a Service)領域を中心とするTOKAIコミュニケーションズとの戦略的な業務提携を発表した。MaaSは、さまざまな交通手段による移動を1つのサービスとしてシームレスにつなぐもので、今後両社は共同でMaaSビジネスの検討を行い、MaaSプラットフォームサービスの構築とソリューションの提供を推進していく予定だ。
「TOKAIコミュニケーションズとは、2018年にEthernet専用線を導入してからのお付き合いですが、大前提となる高品質な回線サービスに加えて、営業担当の方の的確な情報提供や丁寧なフォロー、AWSの各種サービスを利用する中で築いてきた関係性を通して大きな信頼感があります。またAWS接続回線の導入時には、当社の技術担当者から技術的な質問やネットワークに関する問い合わせを行いましたが、“TOKAIコミュニケーションズが的確な情報を提供してくれたおかげで、スムーズに作業を行うことができた”という評価を聞きました。疎通試験も含めた回線開通までの優れたノウハウを保持していることも、今回の導入でよく分かりました」(渡邊氏)。
今後同社では、新たにネットワークに関する相談が生まれた際には、改めてTOKAIコミュニケーションズに協力を仰ぎたい考えだ。
「また私たちのお客様向けサービスとして、音声によるナビゲーションを実現するために、Amazon Alexaなどを使った音声対話機能を今後どこかのタイミングで実装することが必然になると考えています。その際にもAWSについて豊富なスキルを持つTOKAIコミュニケーションズの支援を期待したいと思います」(渡邊氏)。
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- 本導入事例の内容は制作時(2021年10月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
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